<判例> ホステスが枕営業として客とセックスした場合に、客の妻に対して不法行為責任を負うか

平成26年4月14日 東京地裁判決

本判決は、枕営業として客と性行為をしたホステスが、その客の妻から損害賠償請求訴訟を提起された事案です。

結論として、裁判所は、次のように述べて、妻の訴えを棄却しました。

クラブのママないしホステスが顧客との性交渉を繰り返し継続したとしても、それが「枕営業」であると認められる場合には、売春婦の場合と同様に、顧客の性欲処理に商売として応じたに過ぎず、何ら婚姻共同生活の平和を害するものではないから、そのことを知った妻が精神的苦痛を受けたとしても、当該妻に対する関係で不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。

この裁判については、産経ニュースでも取り上げられており、物議を醸しました。
https://www.sankei.com/premium/news/150617/prm1506170004-n1.html

この判決を評価する上で、昭和54年の最高裁判例を知っておく必要があります。この判例では、

夫婦の一方の配偶者と肉体関係を持った第三者は、故意または過失がある限り、誘惑するなどして肉体関係を持つに至ったかどうか、両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者の夫または妻としての権利を侵害し、その行為は違法性を帯び、他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝すべき義務がある。

と述べられていました。

最高裁が、自然の愛情によって生じたかにかかわらず違法だといっていることを考えると、本件で裁判所が、枕営業だから違法性なしというのは、結構なチャレンジだったのでした。