<判例> アイドルのパブリシティ権侵害が認められて損害賠償請求が認容された事例 

1 平成24年2月2日 最高裁判決 
2 平成25年4月26日 東京地裁判決

人の氏名、肖像等を無断で使用する行為に対する損害賠償請求の根拠は、一般に肖像権という人格権に基づく権利に対する侵害と構成されますが、肖像等に顧客誘引力が認められる場合には、その侵害の態様により、パブリシティー権侵害が認められる場合があります。

1の最高裁判例は、ピンクレディー事件と呼ばれる有名な判例で、パブリシティー権侵害が認められる場合の3類型を示したものでしたが、結論においては、パブリシティー権侵害が認めませんでした。
 この事件で、最高裁は、 もっぱら氏名、肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、当該顧客吸引力を排他的に利用する権利を侵害するとして、次の3類型をあげました。
(1)  氏名、肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用
(2)  商品等の差別化を図る目的で氏名、肖像等を商品等に使用
(3)  氏名、肖像等を商品等の広告として使用  
 

2の東京地裁の判例は、この最高裁判決後の最初のパブリシティ権に関する裁判例とされています。ジャニーズアイドルに関する事件ですが、パブリシティー権侵害を認められたという意味でも重要ですが、その損害額の算定方法にも注目です。

肖像権が人格権に基づく精神的苦痛に対する慰謝料的な性質であり、したがって、高額な請求にはなりにくいのに対し、パブリシティ権侵害による損害賠償額の算定では、一種の知的財産権に対する侵害と考えることができます。

東京地裁の判決では、許諾料相当額が損害として認められ、合計4400万円ほどの支払いが命じられました。

ちなみに、この判決と同じ日に、東京地裁の別の部が、深田恭子や綾瀬はるかなどの芸能人のパブリシティ権に関する判決を言い渡しています。