最高裁平成27年4月9日
この判例は、これまで免責事由の立証が非常に難しいと考えられてきた714条の監督義務違反について、どのような場合に免責されるかを示した重要判例です。
免責事由の立証が困難と考えられていた原因は、714条の監督義務が、 被監督者の生活一般に及ぶもので、かなり広範な義務であると解されているためでした。
実際、最高裁が、免責を認めたものはこれまでにありませんでした。
事案は、放課後に開放されていた小学校の校庭で、サッカーゴールに向かってボールを蹴ったところ、ボールが外れ、ゴールを越えて、門からボールが転がり出てしまい、通りすがった二輪車がこれを避けようとして転倒したというものでした。
最高裁判所は、親は子どもに危険な行動をしないよう指導する義務があるが、 親の直接的な監督下にない場合は、子どもの行動に対する指導は、ある程度一般的なものとならざるを得ない、サッカーゴールに向かってフリーキックを蹴る練習は、危険な行動とはいえず、 危険とはいえない行動によって、たまたま他人に損害を与えてしまったような場合まで責任を負うとすべきでない、というロジックをとっています。
これまでは、広範な監督義務であるが故に、結果責任的にとらえられがちでしたが、この最高裁判例によって、結果責任ではなく、子どもの加害行為の危険性の程度内容に着目すること(その行動がしないように指導すべきものかどうか)、親の直接の監督下での事象か否かを区別できることなど、反論のポイントが示されました。